貧困はわが国にずーっとあった。バブルの時代にもあった、と書かれています。だから最近、新聞紙上などを賑わせているワーキングプアの話ではありません。岩田正美さんの「現代の貧困」です。
この方は学者ですから学術的論考も多いのですが、後半、ホームレスの実態やインタビューを元に分析が展開されています。 低学歴が貧困を引き起こしてきたと、とはっきり言っています。現代の貧困は、学歴差別の産物というわけです。それに比べて、昨今のワーキングプア、あえていえば一時的非正規雇用の問題は、あくまで高学歴中産階級の枠の中での話なんだなぁ、と思いました。 引用<日本の福祉国家の仕組みは、高学歴正規雇用者で資産も家族もある人には「やさしい」一方で、低学歴で未婚もしくは離婚経験があって非正規雇用で転職も多く、資産も家族もない人には「やさしくない」> とこんな下りを読むと、こんなものは福祉とは言えないな、と思います。なぜ、そうなるのかというと、 引用<問題点の一つは、社会保障の「保険主義」にある。日本の社会保障制度は、基本的に終身雇用の正規雇用者家族が共通に抱える一定のリスクに応えるべく設計されたものである。> つまり、福祉ではなく、国が運営する保険なんですね。だから、保険金を払える人にだけ、見返りがあるというわけだ。これはとってもわかりやすいなぁ。 なお、この本と、先の「フラット革命」は、このブログ「うたかたの日々@はてな」で紹介されていたのを読んで、即アマゾンで購入したものです。この方、交流はまだありませんが、同業者のようです。これからも触発されることがたびたびありそう。
by nahkid
| 2007-11-26 01:04
| 本
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